映画『Misery』感想&考察

ネタバレしています。

 

 

 

 

 

 

めっちゃハラハラする映画だった。

「あああ、バカバカバカバカ!!アルバムとか読んでないで、ちゃっちゃか動けよおおおおお!!!!!!」と一人叫びながら見ていた。

 

「私は人間の正義を超越した正義に従う」というアニーの発言が過去の新聞に記載されていたわけだが、これはアニーの信仰心を表している。人間の正義を超越した正義、すなわち神の正義、神の言葉である。アニーは「神がこう私に語りかけたから、私は~する」と言って、主人公に不合理なことを押し付ける。しばしば、発狂的な暴力と共に。

 

 

映画では触れられていないが、アニーの情緒不安定さと信仰心の厚さは幼少期に虐待か何かされていたことが原因だと思う。学術優秀だったのも、上司を殺害して、そのポストに就いたのも、何か特別になりたいという強い思いの表れだ。アニーは最初からポールを監禁するつもりはなかった。アニーが狂い始めたのは、ポールが書き上げたばかりの小説を”特別”に読ませてあげたところからだった。ミザリーの死があまりにショックだったから発狂し始めたのではなく、ポールが自分を特別扱いしたという事実が、アニーの何かしらのスイッチをオンにしたのだ。アニー自身、「愛」という言葉を端々に述べる。「最初は作者として愛していたが、今はあなたのすべてを愛している。」等。「愛」にこだわるのも、幼少期に充分に愛されなかった、愛を感じられなかったからであろう。

 

 

監禁から脱出した後も、ポールはアニーから逃れられない。

監禁後に書いた小説がかなりうまくいって、エージェントから褒められるけれども、ポールは笑えない。「この小説が書けたのは、あの恐怖があったおかげだ」。アニーが小説を書かせる際に注文した「私から着想を得た小説を書いてね」という言葉が、脳裏をよぎりながら小説を書き進めたのだろう。彼は、単なるPTSDだけではなく(単なるという言葉はひどい言い草だが、ポール特有のものではなく、誰しもがPTSDになるだろうという意味での、単なるのつもり。)、あの経験のおかげでより売れる小説が書けるようになったという矛盾を抱えながら生きていくことになる。それをどう捉えるかは、ポールの性格とその後の出来事によるだろう。いずれにせよポールが今後、よい日々を過ごせることを祈っている。